ELLE LOCAL vol.6 IZUMO
島根県で出合えるのは“ご縁”だけ? その答えは、もちろんNO!
日本の古社のひとつ出雲大社を有する出雲市から、平安時代より「枕草子」で三名泉のひとつと謳われた玉造温泉を経て、城下町として栄えた松江市までをつなぐ約45kmの旅路には日本神話の神秘性をもしのぐエクスペリエンス・デザインの旅が詰まっている。
ヤマタノオロチ伝説ゆかりのパワースポット巡礼を楽しんだのなら、さあ、今こそ堪能すべきは松江の茶の湯の文化。
江戸時代に出雲松江藩の第7代藩主を務め、茶人として不昧流を創始した松平不昧公によって文化的にも定着した、堅苦しい作法に囚われない茶道の教えは、松江の人々のライフスタイルに息づいている。日常的に抹茶を嗜める環境、上品なお菓子や茶道に触れる時間、日々に溶けこんだ精神性ゆたかな茶と触れるひとときは、慌ただしい時間を忘れさせてくれるはず。
また、お茶や食事をより豊かに彩ってくれる窯元での“用の美”のうつわ探しも必須。
民藝運動の父と言われる柳宗悦氏やバーナード・リーチ氏を中心に浸透していった手仕事文化を継承した出西窯、湯町窯、袖師窯といった窯元と、そこからさらに個性的なクリエイティビティを加えた陶芸家、阿部太一さんのうつわなど、島根県の風土を活かしたもの作りこそ日常の生活を豊かに彩ってくれる。
Is praying for good fortune the only reason to travel to Shimane? The answer, of course, is no.
The 45km journey—starting from the city of Izumo, home to one of Japan’s oldest shrines Izumo Taisha, passing through Tamatsukuri Onsen, a hot spring praised in the Heian period work The Pillow Book as one of Japan’s three greatest hot springs, and ending in the city of Matsue which flourished as a castle town—is full of wonderful design experiences. The mysticism of the legends rooted in the area is definitely enthralling, but the visually stunning locations introduced on this trip are just as rewarding.
Once you’ve finished your tour of places connected with the legendary eight-headed, eight-tailed serpent Yamata no Orochi, you might be wondering what to do next—on you go, we say, to experience Matsue’s chanoyu (tea ceremony) culture! Matsue’s tea ceremony tradition owes itself to Matsudaira Fumai. The tea ceremony master, who was the seventh-generation feudal lord who ruled over Matsue during the Edo period, founded Fumai-ryu (the Fumai school of Japanese tea ceremony). His teachings of sado (“the way of tea”)—which sought to go beyond the bindings of form—were easily adopted by the people of Matsue, and is still very much a part of the city’s culture today. With the daily practice of drinking matcha (powdered green tea) comes a deep spirituality that encompasses daily life. You’ll also no doubt gain extensive knowledge of the fine traditional sweets enjoyed with tea and the utensils necessary for its preparation. It’s an all-around great way to find a moment of calm amid the bustle of everyday life.
To enrich your tea and dining experiences, you’ll want to hunt for wares that possess the “beauty of utility” at a local pottery. We recommend Shussaigama, Yumachigama, and Sodeshigama—these potters keep alive the culture of handwork spread by figures such Souetsu Yanagi, the father of the Mingei movement, and Bernard Leach. Then there’s Taichi Abe, who takes tradition and imbues it with his own creativity. No matter their style, you’ll find that all the products produced by these potteries carry with them the character and history of the surrounding land of Shimane—and they’ll definitely enrich your daily life.
photo: MASAKAZU KOUGA
video: TOTEM
styling, model: ELISA BAKER
出西くらしのヴィレッジ Project
自分らしく、心地よく、健やかに、美しい暮らし
神々の集う出雲の豊かな大地で、
地域に根付き、健康で美しい手仕事の器を作り続ける出西窯。
日常を穏やかに、ささやかな幸せを感じながら暮らしていくための、小さな一歩となるような、心地よいものばかりを集めました。
毎日使いたくなる、そばにあってうれしい器や道具。
地元の素材をたっぷり使った、素朴で優しい味わいのパンと料理。
「出西くらしのvillage」は、ここに集まるみなさんと、温かな交流を育みながら、心地よい暮らしの道しるべとなるような、様々な提案をしてまいります。
この場所で、清々しい自然を満喫しながら、
自分らしい暮らし方に思いを巡らせ、寛いだ時間をお過しください。
深みのあるクリアな青、魅力の出西窯 Clear blue with depth is attractive,Shussaigama
島根県出雲にある「出西窯」。飾り気のないシンプルさに「道具としての使いやすさ
」へのこだわりこだわりを感じます。また、「出西ブルー」と言われる深みのある青には惹かれます。隣には「ルコションドール出西」というバーカリーカフェ。ルコションドールとはフランス語で「金の豚」の意味。四つ葉をくわえた金の豚は、幸運のシンボルだそうです。パンを食べた人が幸せになってほしいという願いが込められています。
出西窯①2018
出西とは出雲の西という意味であり、出西(しゅっさい)という生姜の名産地でもある。この島根県出雲市斐川町出西に、昭和22年に、丹波、益子、唐津などで修行を積んだ地元出身の5人の青年によって開かれたのが出西窯のはじまりである。
・窯元は出西窯一軒だけであるが、窯主を持たない共同作業場となっており、土捏ね、轆轤回し、焼きなどの工程一つ一つが共同作業となっている
・丈夫で安価で飽きの来ない「無銘の実用陶器」が共通理念であり、大衆向けの民陶として知られる
・粘土から釉薬、薪に至るまで原料は全て島根県産で通すなど、強いこだわりも見られる
出西ブルーと呼ばれる瑠璃色は、出西窯独特で非常に深く美しい色合いであるが、映像でおわかりいただけるだろうか。
また、2018年5月25日、出西窯となりにベーカリーカフェ「ル コションドール出西」がオープンした。ハードパンが特徴である。ル コションドールとは
フランス語で、「金の豚」
(幸せを呼ぶ幸運のシンボル)
「食べた人が幸せになれる
ようにと」いう願い
を込めたネーミングだそうである。